頭痛に関するあれこれ”14”
コロナウイルスの影響で自宅でのリモートワークされている方が、読者さんの中に1人くらいはいらっしゃるでしょうか。
もうだいぶ緩和されたかな🙄?
先日厚労省より
『4月の自殺者数が前年に比べ20%程度減った』
との発表がありました。
ここ5年間では最も大きな減少幅だそうです。
外出制限によるストレスよりも、学校や仕事に行くことによるストレスの方が大きく感じているのでしょうね😏
『おもしろき こともなき世を(に) おもしろく
住みなすものは 心なりけり』
先ほどのニュースを見たときにパッと頭にこの言葉が浮かんできました。
有名な言葉ですね。 高杉晋作の辞世の句(諸説あり) です(下の句は野村望東尼)。
『自分の心の持ちようで、世の中面白くなるんじゃね?』
という解釈でいます(もちろん異論認めます👍笑)。
つまり何が言いたいかというと、そういうことです(どゆこと?)
あっどうも。理学療法士のTTMです。
ちなみに最初の写真は私ではありません(高杉晋作です)。
今回はこれまで(頭痛に関するあれこれ”8”~)の薬(おもにOTC薬)についてまとめる感じで書いていきます🤩
はじめに
いつもの感じで前回の復習から行きましょう!
と思ったんですが、前回までのまとめを書いていくので今回は省きます笑
見直したい方こちからどうぞ👆
それでは今回も張り切っていきましょう🤩
OTC薬に関する復習
OTC薬とは『Over The Counter』の略で、要するに薬局などのカウンター越しに買える市販薬のことです。
NSAIDs
様々な種類の薬がありますが、はじめにNSAIDs(エヌセイズ)についての説明をしていきました。
NSAIDsも様々な種類がありますが、おおまかにまとめていきます。
末梢神経から中枢神経への経路に対して鎮痛作用を発揮していきます。
痛みを感じるのは神経ですが、その神経に対して刺激している発痛物質があります。
代表的な発痛物質がプロスタグランジン(PG)でしたね。
痛みの発生を順を追って説明していきます。
・身体的・心的など様々なストレスを受ける。
・それらのストレス刺激によって組織が損傷されると細胞膜にあるホスホリパーゼA2酵素が活性化する。
・細胞膜中のリン脂質からアラキドン酸を遊離する。
・遊離したアラキドン酸は3つの経路により代謝される。
・経路の1つであるシクロオキシゲナーゼ(COX)経路は、炎症や痛みに関連する。
・各組織に特異的なプロスタグランジン合成酵素によってPGE2などの化学伝達物質が合成される。
・これらの物質が損傷組織へ放出される。
・プロスタグランジン自体に発痛作用はないものの、発痛物質の疼痛閾値を低下させる。
・プロスタグランジンは局所での血流増加作用や血管透過性の亢進、白血球の浸潤増加など炎症を増強させる作用がある。
ここまではなんとかついてこれていますか😎?
遊離されたアラキドン酸からPGを合成する経路でCOXの働きを阻害することにより、抗炎症、鎮痛作用を発揮しています。
要するに上から4番目と5番目のところに作用しているということです。
プロスタグランジンがものすごく悪者的な印象になった方もいるかもしれませんが、ないとないで困ります。ケガしても痛みに気付かなかったら傷口から感染して、知らぬ間に酷くなってしまうかもしれません😰身体に起きている異変をお知らせしてくれているんですね♪
さてプロスタグランジンの汚名返上できたところで、ほかの働きについても書いていきます。
そのひとつに胃粘膜の保護があります。
シクロオキシゲナーゼにもサブタイプがあり、先ほどの身体の異変をお知らせするものはCOX-2、胃粘膜の保護などに関するものはCOX-1と呼ばれます。
シクロオキシゲナーゼ全般をを阻害してしまうと、COX-1なのかCOX-2なのか『見分けがつか~ん』(相同性は約60%)と言って胃粘膜の保護も阻害してしまうんですね💦そりゃ胃が痛くなったりするわけだ💔
以上がNSAIDsの基本的な作用機序についてのまとめです。
が、ここで終わるわけにはいきませんね。
上記を踏まえて人類は色々考えるわけです😌
・COX-2選択的阻害薬
・プロドラッグ化
COX-2選択的阻害薬
非選択的NSAIDsに比べて胃腸障害発生頻度は減少することが分かっていますが、全くないというわけではありません。それは、胃潰瘍の治癒促進にCOX-2が関与しているとの報告があるためと考えられています。
逆に血小板凝集作用を示すCOX-1への阻害作用が弱いため、心血管合併症を増加させる危険があると考えられています。
とは言うものの、実際に売っている薬剤の特性によって副作用の頻度は異なるようなので薬剤師さんに聞いてみるのがいいと思います😏
プロドラッグ化
過去記事ではロキソプロフェンがこれに当たります。
高い薬理活性を持つ化合物でも、投与したあと消化管内や肝臓で分解され、標的部位に届くまでに濃度が低くなってしまうことに着目したものです。
標的部位に到達してから元の化合物に戻り、薬理効果を発揮するように化学的に修飾されているため、体内で吸収されるまで作用せず、消化器系への副作用が少ないのが特徴です。
以上がNSAIDsについての簡単なまとめになります。
みなさんどのくらい覚えていましたか??
アセトアミノフェン
続きましてアセトアミノフェンです。
先ほどまでのNSAIDsは異なり、シクロオキシゲナーゼ阻害作用が弱く、抗炎症作用はほとんどないため、小児への解熱剤の第一選択薬としても使用されています。
合成されて100年以上経過しているものの、作用機序は未だによく分かっていないようです😰
今のところ一番有力な考えとしては、
代謝物であるp-アミノフェノール(肝で脱アセチル化され)は脳や脊髄などの中枢神経において、脂肪酸アミドヒドロラーゼ依存性にアラキドン酸と結合し、AM404(N-アシルフェノールアミン)を誘導します。
このAM404はカプサイシン受容体やカンナビノイド受容体へ作用し、強力な鎮痛・解熱作用を示す源になっていると考えられています。
また、セロトニン神経にも作用して下行性抑制系を賦活化することで鎮痛作用を発揮している可能性も示唆されています。
ACE処方
アセトアミノフェン(A)、カフェイン(C)、エテンザミド(E)の3種類の成分を合わせた解熱鎮痛成分の頭文字。
カフェインの主な作用はアデノシン受容体に拮抗することによって覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用や利尿作用があります。
臨床的には片頭痛にも用いられています。
エテンザミドは5-HT2B受容体に対して選択的に結合し阻害活性を示すため、過剰な胃運動を抑制し、胃粘膜障害の発生を抑制するため障害は比較的少ないです。
(今回の範囲外ですが、気になる方は『頭痛に関するあれこれ”3”』参照)
・アセトアミノフェンが主に中枢神経で効果を発揮(即効性)
・エテンザミドが末梢神経から中枢神経への経路で効果を発揮(持続性)
・カフェインがこれらをサポート(効果増強)
この辺は前回の復習になっているので覚えている方も多いかな?
おわりに
対症療法としての薬の部分に関して自分の復習も含め、みなさんが見やすいようになるべくまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
全体像なんとなく分かりましたか?
次回は片頭痛に対して対症療法ではなく、原因治療として使用されている薬(トリプタン系とか)の話をしていこうと思いますが…まだ迷っています笑
私は理学療法士なので、薬よりも緊張性頭痛に対してのお話の方がとてもすすめやすいので、そちらで行こうかどうしようか…
では次回なにをチョイスするかお楽しみに😎
頭痛に関するあれこれ”13”
みなさんこんにちは😃
まだまだ終わりが見えず、外出自粛も延長となり、身も心もモヤモヤしている今日この頃ではないでしょうか?
学校も9月入学にしてはどうかの議論もされているようですね。
入学式といえば桜の花🌸のイメージがありますが
『9月入学なら何になるんだろう🙄?』
と素朴な疑問が生まれたのです。
【9月 花】で検索するとたいてい真っ先に出てくるのが【彼岸花】でした笑
インパクトはありますが、なんかイメージが違う…とかいう想像をしながら楽しんでいる理学療法士のTTMです。
今回はいつもと入りを少し変えてみました😎笑
それでは今回も張り切っていきましょう!
はじめに
先ずは前回のアセトアミノフェンについて復習からしていきましょう😏
・米国や欧州で最も利用されている鎮痛薬、総合感冒薬
・鎮痛剤として片頭痛をはじめ多くの疾患で第一選択薬(小児含む)
・COX阻害作用が弱く抗炎症作用はほとんどないため、NSAIDsには分類されない
・100年以上前に合成されているが、未だに作用機序は不明
・AM404はカプサイシン受容体やカンナビノイド受容体へ作用し、強力な鎮痛・解熱作用を示す源
・セロトニン神経系にも作用して下降性抑制系を賦活化することで鎮痛作用を発揮
読み直したい方はこちらからどうぞ👆
「もっと詳しく書けよ!」との声はありませんでしたが、今回ももう少しアセトアミノフェン絡みでいきますね💓
アセトアミノフェン(Acetaminophen)
いきなりですが、ACE(エーシーイー)処方って聞いたことありますか?
解熱鎮痛剤のテレビCMで聞いたことある方もいるかと思います。
今回はこれについて触れていきたいと思います。
ACE処方
3種類の成分を合わせた解熱鎮痛成分のことで
A:アセトアミノフェン(解熱鎮痛成分)
C:カフェイン(鎮痛補助)
E:エテンザミド(解熱鎮痛成分)
の頭文字を取ってACEとなっています。
先ずは A のアセトアミノフェンですが…
前回までの内容を読んでいただければだいたいのことは分かると思いますので割愛します笑
エテンザミド (Ethenzamide)
主にOTC(市販薬)の頭痛薬や総合感冒薬に配合されています。
頭痛に関するあれこれ”9”で登場したアセチルサリチル酸(アスピリン)と同じ部類の酸性NSAIDsのサリチル酸系の解熱消炎鎮痛剤です。
アスピリンは体内で加水分解されサリチル酸になることにより胃粘膜に障害を起こしますが、対するエテンザミドはサリチルアミドになる(サリチル酸にはならない)ため胃に対する障害は比較的少ないと言われています。
頭痛に関するあれこれ”3”で登場した5-HT2B受容体(セロトニン受容体のひとつで、胃収縮作用がある)に対して選択的に結合し阻害活性を示しており、過剰な胃運動を抑制し、胃粘膜障害の発生を抑制しているようです😏
無水カフェイン(caffeine)
皆さんご存じのカフェインです☕
アルカロイドの一種でメチルキサンチン誘導体に分類される中枢神経興奮成分です。
1820年にドイツのRungeによってコーヒー豆から初めて取り出されました。
コーヒーなどの原料からの抽出や、合成されたカフェインは水分子を含んでおりカフェイン水和物と呼ばれています。医薬品の多くはこの水分子を含まない無水カフェインが使用されています。
ちなみにどちらも作用や効果の大きな違いはないようです🙄
主な作用としては、アデノシン受容体に拮抗することによって覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用や利尿作用があります。
そのため医薬品でも総合感冒薬や鎮痛薬に用いられています。また、臨床的には片頭痛などにも用いられています。
簡単にまとめていきます。
・アセトアミノフェンが主に中枢神経で効果を発揮(即効性)
・エテンザミドが末梢神経から中枢神経への経路で効果を発揮(持続性)
・カフェインがこれらをサポート(効果増強)
簡単に終わりすぎ🤩笑
おわりに
いかがでしたでしょうか?
これまで数回にわたって頭痛薬のいくつかの成分を紹介してきましたが、症状を緩和するためだけの対症療法となっています。
様々な種類の頭痛が存在するので、先ずはどのタイプの頭痛なのかを把握することがとても大事です。
『これからも症状が出たら薬を飲んでしのいでいくわ』
という方はご自分に合った物を飲み続けるのもいいでしょう。
でもできる事なら頭痛が出てほしくないと思っている方が大半かなと思います🙄
次回はこれまでの薬について全体像が分かりやすくなるように(多分笑)まとめていきたいと思います。
それではみなさんまたお会いしましょう✋
頭痛に関するあれこれ“12"
まだまだコロナウイルスは落ち着く気配がありませんが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
不要不急の外出を控えている方は自宅で過ごす時間も増えていますよね💦
せっかく良い季節なのに外出ができないのは精神衛生上もよろしくないですが仕方ありませんね😰
早く終息してくれることを願います!
あっどうも理学療法士のTTMです😁
今回の前置きはサクッと短くしときました笑
それでは今回も張り切っていきましょう!
はじめに
いつも通り前回の復習から行きましょう♪
・ロキソプロフェンはプロピオン酸系の一種でプロドラッグ
・プロドラッグは体内で吸収されるまで作用しないため、消化器系への副作用が少ない
読み直したい方はこちらからどうぞ👆
それでは前々々回くらいから(?)チラホラ話題に上がっている『アセトアミノフェン』について書いていきます♪
アセトアミノフェン (Acetaminophen)
国際的にはパラセタモール(Paracetamol)
1873年(?)に米国の科学者によって合成され、20年後の1893年に初めて医薬品として用いられました。WHO必須医薬品モデル・リストに収録されており、米国や欧州で最も利用されている鎮痛薬、総合感冒薬です。
また、鎮痛剤として多く頓服処方されており、片頭痛も含め多くの疾患で第一選択薬として使用されています。
我が国においては1939年に塩野義製薬がセデスを医療用医薬品として発売しましたが、第二次世界大戦突入に伴う原料不足のため限られた量しか生産されず終戦を迎えました。その後1950年に一般医薬品として再度発売開始されました。
ちなみに皆さんご存じのカロナール細粒20%は1984年に販売開始されました。
さらに付け加えると、PL顆粒にも150㎎/g含まれています。
アセトアミノフェンはシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用が弱く抗炎症作用はほとんどないため、前回まで書いてきたNSAIDsには分類されません。また、正常な服用量では副作用が少ないのが特徴となっており、小児の解熱剤の第一選択薬として使用されています。
頭痛に関するあれこれ”8”でも紹介しましたが、バファリンの成分は種類によって様々でしたね。下図👇には載せていませんが、小児用のバファリンには『CⅡ』、『チュアブル』の商品があり、主成分はアセトアミノフェンとなっています。
作用機序
詳細不明。
アスピリンの酸誘導体と同様に、プロスタグランジン合成阻害作用に基づくと考えられているが、その阻害作用は弱い。
解熱作用と鎮痛作用に関与しているプロスタグランジンの合成阻害は、アスピリンと同程度とされているが、末梢におけるプロスタグランジンの合成阻害はアスピリンに比べ極めて低くなっている。(末梢性よりも中枢性に働くと言われている。)
2011年の日本薬局方解説書によると、視床下部の体温調節中枢に作用し、表在毛細血管を拡張させることで解熱作用を発揮するとされている。鎮痛作用は視床と大脳皮質の痛覚閾値を高める経路によると考えられている。
100年以上前に合成されたアセトアミノフェンですが、こんな感じで作用機序は未だによく分かっていないようです😰
が、
今のところ一番有力そうなものを紹介します。
ザックリ説明にしときます笑
カプサイシン受容体、カンナビノイド受容体やセロトニン神経系など複数の機序が関与するという考えが主流なようです🙄
アセトアミノフェンの代謝物であるp-アミノフェノール(肝で脱アセチル化され)は、脳や脊髄などの中枢神経において、脂肪酸アミドヒドロラーゼ依存性にアラキドン酸と結合してAM404(N-アシルフェノールアミン)を誘導します。このAM404はカプサイシン受容体やカンナビノイド受容体へ作用し、強力な鎮痛・解熱作用を示す源となっていると考えられています。
また、セロトニン神経系にも作用して下行性抑制系を賦活化することで鎮痛作用を発揮している可能性も示唆されています。
ザックリでしたが何となく分かりましたか?
「もっと詳しく書けよ!」
との声があれば次回詳しく書いていきます笑
おわりに
みなさん覚えていますか?
前々回の番外編2でも少し触れましたが、今流行りの新型コロナウイルス(インフルエンザもね)が疑われる場合の解熱方法として
『NSAIDsは飲んじゃダメよ~!パラセタモールにしときなさ~い』
ってフランスの厚生大臣が言っていましたね👇
薬は用法用量を守って正しくお使いください🙏
次回はアセトアミノフェンについてもうちょこっと書こうと思います。
それではみなさんまた次回お会いしましょう🤩
頭痛に関するあれこれ ”11”
『夜船』と『北窓』
私が最近へぇ~🙄と思った言葉なのですが、この言葉を聞いてピンと来た人はどのくらいいるのでしょうか?
今年の春分の日は3月20日でしたね。その前後3日がお彼岸です。
お彼岸と言えば、同じ物なのに時期によって呼び方が変わる食べ物がありますね♪
諸説ありますが
春に食べるのが『牡丹餅』で、秋に食べるのが『御萩』。
その時期に咲く花から付けられたんだろうなぁってことで、ほとんどの人が知っていると思います😃
冒頭に書いた『夜船』『北窓』という言葉ですが、夏と冬でも呼び名が変わるんです🤩
お餅は杵や臼を使って作るため音が出ます。一方牡丹餅を作るときは餅を搗(つ)かずに作るため音が出ないので、近所の人にいつ作ったか分かりません。
「搗き知らず」 → 「着き知らず」と言う言葉遊びからの『夜船』
(夜に船が着いても暗くて気付かないから)
「搗き知らず」 → 「月知らず」と言う言葉遊びからの『北窓』
(北側の窓からは月が見えないから)
となったようです🌛
昔の人は言葉遊び好きだったんですね💓と言うか発想がスゴイ!!
…
…
あっ、どうも理学療法士のTTMです😎
全然関係ない前置きがすごく長くなりました🙏 笑
それでは今回も張り切っていきましょう!
はじめに
いつも通り前回の復習からしていきましょう!
・イブプロフェン、アスピリンはWHOのエッセンシャルドラッグに含まれている
・アラキドン酸カスケードについて(ここでは割愛します💦)
・オレオカンタールはイブプロフェンと似た構造をしており、COX阻害作用がある
・50gの摂取でイブプロフェン1/10服用と同様の効果あり
・おまけが3個笑
省略しすぎてよく分からない方や気になった方は読み返してね💓
それではロキソプロフェンについて書いていきます🤩
ロキソプロフェン (Loxoprofen)
前回のイブプロフェンと同様にプロピオン酸系の一種で消炎鎮痛剤。
日本でもロキソニン(Loxonin)という商品名で有名ですね。
第一三共が開発したNSAIDsで、1986年に経口剤(錠剤と細粒剤)、2006年にはパップ剤、2008年にテープ剤(商品名:ロキソニンテープ)が発売されています。
NSAIDsについての説明はもう大丈夫ですよね⁉
えっ?ってなった方は過去のブログを見直してね🤩
プロドラッグ(prodrug)
急に出てきましたが『プロドラッグ』という言葉を聞いたことがありますか?
ロキソプロフェンはこのプロドラッグと言われるタイプの薬です。
これまで登場してきたNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の特徴として鎮痛作用が強い反面、消化器系への副作用も強いんです。
一方、プロドラッグは簡単に言うと、体内で吸収されるまで作用しないため、消化器系への副作用が少ないんです😌
もうちょっと詳しく説明していきます。
NSAIDsで最も考慮すべき副作用は消化管障害というのは何度も出てきているので皆さんもう覚えましたよね?
高い薬理活性を持つ化合物でも、投与したあと消化管内や肝臓で分解され、最終的に標的部位に届く濃度がかなり少なくなってしまう場合もあります。
そのため、消化管に負担をなるべくかけないように胃以外から血中へ吸収させる目的で、『坐剤』、『経皮吸収剤』および『プロドラッグ』などの剤形が考案されました。
簡単にそれぞれ見ていきましょう!
『坐剤』の特徴は、直腸粘膜より速かに吸収されるため即効性が期待できます。また、経口投与が困難な方にも適しています。
『経皮吸収剤』の特徴は、内服薬に比べ消化管障害などの副作用は少ないのですが、作用(効果)も弱くなってしまいます。さらに、局所の接触性皮膚炎や光線過敏症などの皮膚での副作用発現が多いことも注意しなければなりません。
ここで今回主役の『プロドラッグ』の登場です。
先ほども少し触れましたが、体内で代謝されてから薬理活性が高まるタイプの薬です。
それ自体は不活性ですが、標的部位に到達してから元の化合物に戻り、薬理効果を発揮するように化学的に修飾されているんです😍
詳しく書きすぎると一般の方が読みたくなくなってしまいそうなのでさらっと流しますが、どこで最終的な活性薬物形態に変換されるかで2つのタイプ(細胞内(タイプ1)・細胞外(タイプ2))に分類されます。
更にサブタイプA、Bと分けられ、活性形態への変換が行われる場所が薬物の作用の場所であるかどうかによって決められます。
少し話が戻りますが、吸収された後に活性代謝物に変換され作用するため、消化管などでCOXを阻害することなくPG類の抑制が少ないと考えられています。
疫学調査において、プロドラッグとそうでない経口NSAIDsでの消化管に関する比較試験があったので少しまとめて載せていきます。
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症に有意差は認められなかったが、胃炎なども含めた異常病変位おいてはプロドラッグ使用群では有意に少なかった。(日本リウマチ財団)
・プロドラッグ群で有意に胃障害発症が少なかった。(健常ボランティア対象)
1996年〜2005年のスペインにおける消化管障害発症について検討した報告では、上部消化管障害が減少傾向にある一方、下部消化管障害は増加する傾向が認められる。
などなどでした。
今後もっともっと安全に使用できるように、消化管吸収性、組織移行性、組織選択性、化学的安定性などの向上を期待しています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
この記事の投稿予定は3月のあたま頃を予定していましたが、あれやこれやでほぼ1ヶ月も遅れてしまいました💦
待っていた方(いるかな?)ごめんなさい😰
あと、本題に入るまでが長くてごめんなさい笑
次回は番外編2でも少し登場した『アセトアミノフェン』について書いていきます。
それでは皆さん首を長くせずにお待ち下さい笑👋
頭痛に関するあれこれ ”番外編2”
はい!出ました番外編2🤩
どうもお久しぶりです。理学療法士のTTMです♪
ちと気になるTweetを見つけたので、番外編ということでご紹介しようと思います。
あっ、今話題の新型コロナウイルスについてです。
えっ😱?
いつになったらロキソプロフェンについて投稿するんだよ!
とか言わないで🙏💦
では気を取り直して笑
先日フランスの厚生大臣がこんなTweetしたのご存じですか?
翻訳機能を使うとこんな訳になりました👇
ふむふむ。
ここ最近NSAIDsについて書いていますが、NSAIDsは解熱鎮痛剤でしたよね。
普段は頭痛について書いているので鎮痛の部分を取り上げていましたが、今回は解熱の部分です。
ちなみにこの文面にあるコルチゾンとはNSAIDsのひとつで、パラセタモールは次々回に書こうとしているアセトアミノフェンのことです。
皆さんは頭痛や風邪症状、発熱などがあったときはきっと第一選択として市販薬を飲むのではないでしょうか?薬局などで簡単に手に入るため、常備薬として置いている方も少なくないでしょう。
よく考えてください。
何かしらの症状が出てるってことは、身体が異変を知らせているサインってことです。頭痛も然りです。
例えば、熱や咳が出ている場合、それがイコール原因であるというわけではないですよね。体内に何かしらのウイルスや細菌が侵入してきて、それと戦うために発熱したり、それを追い出すために咳が出たりしているんです。
では、その症状だけを薬で止めるとどうなるでしょう?
感覚としてその時は身体は楽に感じるでしょう。でも侵入者(ウイルスや細菌など)にとっては、攻撃してくる免疫細胞たちが休戦しちゃうので、やりたい放題となってしまいますよね😈
仮に症状を抑えた状態で病院受診するとします。薬によって症状が抑えられている状態なので、身体がどのくらい深刻な状態なのか分からないため、診断や治療に遅れが出てるからこともあります💦
過去のブログを読み返していただいたら分かると思いますが、NSAIDsには免疫抑制作用があり感染症を悪化させる危険性があるため、感染症と分かっている状態では一部の例外を除いて使用することは推奨されていません。
一部の例外というのは、主治医から直接処方されている場合のことです。
総合的に判断して処方していますので、『こんな噂があるから…』と自己判断で服用をやめてしまうのは非常に危険です!
飲むのもやめるのも自己判断はよろしくありませんね💦
ここで、NSAIDsの副作用として胃潰瘍、腎機能障害、アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)などが有名ですよね。
前回書いたアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用をもつNSAIDsは、成人気管支喘息のある方の中には激しい過敏反応が誘発されることがあります。
今回の新型コロナウイルス感染症も肺炎を引き起こしていることから、気管支喘息患者さんが罹患(りかん)した場合、喘息増悪をきたしそれに伴い呼吸不全が重症化する恐れが考えられますね😱
まだ新型コロナウイルスについては未知な部分も多いので、最新情報を見ながら(トイレットペーパーなんかのフェイクニュースに惑わされないでね😰)対応していきましょう!
それではみなさん近いうちにお会いしましょう✋
頭痛に関するあれこれ ”10”
みなさんこんばんは😃
理学療法士のTTMです。
とうとう ⭐ 第10弾 ⭐ まできました!
番外編があったので11個目の投稿にはなるのですが…笑
なかなか予定通りに投稿できていませんが、気長に待ちながら見ていただけたらと思います😎
全く関係ありませんが、今日は2020年(令和2年)2月22日で2がいっぱいの日ですね笑
今回も張り切っていきましょう!
はじめに
今まで薬のついてあまり考えたことがなかったのですが(基本的に飲まないので…😰)、成分がどういったところに、どのように作用するのか、どの症状に対して、何を飲めばいいのかなどを考えるいいキッカケになりました。
とは言うものの、そう簡単に薬のことを理解できるわけもなく(薬学部は6年制ですもんね💦)テンパりそうですが笑
それでは気を取り直して前回の復習からしていきましょう!
・アセチルサリチル酸(アスピリン)はNSAIDsの代表的な薬
・ピリン系とは関係なく酸性NSAIDsのサリチル酸系に分類される
・アスピリン・ジレンマ(投与量によって血栓形成効果が変化すること)
・OTC鎮痛薬は片頭痛薬の第一選択肢ではあるが、過度な期待はできない
・アスピリン・アセトアミノフェン・カフェインの合剤が片頭痛の初期段階では有効
覚えてない方は読み返してね💡
それでは予告通りにプロピオン酸系について書いていきます🤩
イブプロフェン(ibuprofen)
イギリス最大級の国際的薬品小売企業のBoots Groupが、アスピリンよりも安全な薬として開発しました。
1950年代に合成し、1961年に特許を取っています。
もともとは関節リウマチ治療薬として1969年に英国、1974年に米国で使用されるようになりました。炎症部位の鎮痛目的で使用されるため、片頭痛も対象であると考えられています。
前回登場したアスピリンや今回のイブプロフェンは、WHO(世界保健機関)のエッセンシャルドラッグ (必須医薬品モデル・リスト)に含まれています。
ついでに付け加えると、次の次(頭痛に関するあれこれ ”12” )辺りで登場予定の アセトアミノフェンもこれに含まれています😏
作用機序
NSAIDsの一種のため前々回お話ししたような作用機序となっています。
えっ?忘れた?
見直してね💓
と言いたいところですが、今回は少し詳しくアラキドン酸カスケードについて書いていきます🤩
ってか、そもそもなんのことやねん!って話ですよね笑
なるべく分かりやすく書いていこうと思います。
アラキドン酸とは肉・卵・魚介類などから摂取することができる脂肪酸のことです。細胞内のリン脂質に取り込まれて、様々な生体膜の合成に使用されている物質です。
カスケードとは “ 滝 ” の意味で、要するにアラキドン酸から出発して滝のようにいろんな経路へと進行することを意味しています。
ここまで大丈夫ですか?
行きますよ笑
刺激によって組織が損傷されると、細胞膜にあるホスホリパーゼA2酵素が活性化し、細胞膜リン脂質からアラキドン酸を遊離します。
細胞膜から遊離したアラキドン酸は、① シクロオキシゲナーゼ(COX)経路、② リポキシゲナーゼ(LOX)経路、③ エポキシゲナーゼ(EOX)経路の3つの経路により代謝されていきます。
(※数字は分かりやすく3つあるよって示したかっただけの数字です)
経路は3つあるのですが、このうち炎症や痛みに関連するのはシクロオキシゲナーゼ(COX)の部分となっていて、NSAIDsはここの経路を阻害する薬なんです😏
プロスタグランジン(PG)類の合成抑制(特にプロスタグランジンE2(PGE2))
……
……
私なりにかなり分かりやすく書いたつもりですが分かりました😰?
一般の人でこんなこと考えながら薬を飲む人いないでしょうし、考えてたら頭痛が酷くなりそうですね💊笑
オレオカンタール(Oleocanthal)
聞いたことありますか👆?
天然有機化合物でイブプロフェンと似た構造をしている物質です。
エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイル舐めたらピリリとするアレです🤩
なぜコレがここで登場したかと言うと…
シクロオキシゲナーゼ(COX)を非選択的に阻害する作用があるんです!
毎日50g摂取することで、イブプロフェン成人服用量の1/10服用したのと同等の効果があると考えられています。
もしかしたら地中海料理で心臓病を予防できるかもしれません🙄
おまけ
あなたの周りで「薬飲んでも全然効かない!」って言って、追加で別の薬を飲む方がたまにいらっしゃいませんか??
アスピリン服用後にイブプロフェンを服用すると、アスピリンの血小板凝集抑制作用が抑制されてしまうのでご注意を😲
参照文献:Catella-Lawson F、Reilly MP、Kapoor SC、他 シクロオキシゲナーゼ阻害剤とアスピリンの抗血小板効果。ニューイングランドジャーナルオブメディシン。2001 12月; 345(25):1809-1817。DOI:10.1056 / nejmoa003199。
👆
リンク貼りたかったのですが、いろいろ試してみたもののなぜか開けなかったので💦
興味ある方見てくださいね。
もういっちょおまけ👍
イブプロフェンだけではないのですが、他のNSAIDsも含め起立性低血圧にも効果があるようです♪
参照文献:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/jiritsu.pdf
もういっちょおまけ②👍
長期にわたるNSAIDsの使用はアルツハイマー病を予防できるよ。
その中でもイブプロフェンが一番効果がありそうよって文献です😃
参照文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2758242/
興味のある方見てみてください♪
おわりに
いや~知識が全くないところからのスタートなので、お薬のことを書いていくのは時間がかかりすぎますね💦
そしてやはりプロピオン酸系のイブプロフェンひとつの事しか進みませんでした笑
次回は同じくプロピオン酸系のロキソプロフェンについて書いていきますのでお楽しみに💓
頭痛に関するあれこれ ”9”
みなさんこんばんは。理学療法士のTTMです😃
先月中に投稿予定でしたが過ぎてしまいました💦
さて、『コロナウイルス👿』よりも『桜を見る会🌸』の話題で盛り上がっている国会ですが、いかがお過ごしでしょうか?
こんな平和な頭の中した国会に頭が痛くなった人必見です笑
ちなみに2月2日は頭痛の日らしいです🙄
それでは今回も張り切っていきましょう!
はじめに
前回の話で出てきたNSAIDsですが読み方は『エヌセイズ』です。なんて読むか分からなかった方すいませんでした💦
気を取り直して前回の復習から参りましょう♪
・市販薬の種類(紹介)
・NSAIDs(代表的なもの:アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナク 等)
・NSAIDsは末梢神経から中枢神経への経路に対して鎮痛作用を発揮する(シクロオキシゲナーゼ(COX)を抑制する)
・COX-1は血管収縮、血小板凝集作用がある。
・COX-2は血管拡張、血小板凝集を防ぐ作用がある。
前回の内容思い出しましたか?忘れた方は見直してね💓
今回は前回サラッと名前だけ紹介した主なNSAIDsの成分について解説していきますね👍
薬の種類
アセチルサリチル酸(アスピリン)
acetylsalicylic acid (aspirin)
代表的な消炎鎮痛剤のひとつで、NSAIDsの代名詞とも言うべき存在。
本来は柳の樹皮から採れるハーブ系の薬剤の一種で、いつ頃から使用されていたかと言うと、紀元前400年頃まで遡るんです!
かの有名なヒポクラテスが柳に鎮痛効果があることを突き止めて、柳の葉や樹皮から抽出した飲み物を服用していたそうです😮
ホントかどうかはまだ私は生まれてないので知りませんが笑
世に出回ったのは1899年3月6日で、ドイツのバイエル社が名付けた「アスピリン」として商標登録されました。
が、
第一次世界大戦のドイツ敗戦で連合国によって商標が取り上げられてしまい、一般名としても使われるようになったのです。
ちなみにアスピリンは「ピリン」が付いていますが、
ピリン系とは関係なく
酸性NSAIDsのサリチル酸系に分類されます🙄
さて、前回少し触れたシクロオキシゲナーゼ(COX)を覚えていますか?
アスピリンはCOX-1/COX-2に対して阻害作用を持っています。
COX-1は血小板凝集作用がありますが、投与量によって血栓形成効果が減弱されたり、増強されたりするんです💡
これを
『アスピリン・ジレンマ(aspirin dilemma)』
と言います。
低用量(成人で81~100㎎/day程度)で使用すると血栓・塞栓症に対して予防的に働きます。
また、血小板に作用して二次凝集を抑制するようです。
反対に大用量で使用すると抗血栓作用が失われてしまいます💦
ここまで読み進めてくれた方、ありがとうございます笑
薬のことを全く知らず、調べながら書いていて、結局何が言いたいか着地地点を見失いそうになってしまいました😰
これは『頭痛』についてのことを書いているのです笑
結局頭痛にアスピリンはどうなんだ?
ってことですね。
(Over The Counter の略。医師処方の医療用医薬品ではなく、対面販売で買える一般用医療品のこと)
は、もっとも一般的な緊張型頭痛には効果的であるものの、片頭痛に対しては、どうやらあまり期待はできないようです😩
とは言っても、片頭痛治療の第一選択肢として用いられています!
アスピリン単独使用というよりも
の合剤は片頭痛が始まったとき(初期段階で)止めるのに効果的なようです。
有名どころのOTC鎮痛薬を色々調べてみましたが、
アスピリンとカフェイン
アセトアミノフェンとカフェイン
というような組み合わせはいくつか見つかったのですが、この3つがすべて揃っている物は見つけられませんでした💦
医師の処方ではあるかもですが、もしかしたら日本ではOTC鎮痛薬としてはないのかな🙄?
何とも言えないので分かり次第お知らせしますね👍
おわりに
一気に行ってしまいたかったのですが、なんやかんやで1種類ずつの投稿になってしまいそうです😱
そして気付いた事は、薬剤師はすごいということです笑
理学療法士になるのにここまで深い薬の知識は勉強しませんからね😭
次回は
イブプロフェン、ロキソプロフェンのプロピオン酸系
について書いていこうと思います。
それではみなさんまた次回お会いしましょう✋